シンポジウム

ディスカッション・フォーラム

第49回大会(30周年記念大会)のシンポジウムは

モデレーター:石井康毅先生(成城大学)

シンポジスト:

中邑光男先生(関西大学)
松井孝志先生(英語講師)
西垣浩二氏(三省堂辞書出版部)

による

「辞書編集におけるコーパス利用の現状と今後の展望」

です。

内容

大規模コーパスが辞書の編集に使用されるようになって30年以上が経ち、その利用範囲・方法も拡大・洗練されてきた。想定される使用者や編集方針によって、どの程度コーパスを利用するかは異なるものの、現在では辞書編集の多くの場面でコーパスが利用されている。

英語コーパス学会の大会で最後にコーパスと辞書をテーマとしたシンポジウムが開催されたのは2008年4月の第31回大会のシンポジウム「英和辞典とコーパス」である。(大会シンポジウム以外では、2012年3月には旧東支部シンポジウム「コーパス分析と辞書・語彙教材開発」が開催され、2016年度春季ワークショップ・講演会における、赤野一郎先生の講演「学習英和辞典における意味記述―コーパス言語学の視点から」もあった。)それから15年が経ち、コーパスの大規模化、検索方法や記述方法の洗練が進んでいる。

一方で、教育効果を考えるとコーパスから得られる情報を辞書においてそのまま記述することが必ずしも最適であるとは限らない、コーパスに基づいて記述された情報を的確に読みとるためには一定のリテラシーが必要な場合もある、編集者・執筆者が求める情報をコーパスから取り出すのが容易ではない場合も依然としてある、などの問題もある。

本シンポジウムでは、辞書へのコーパス利用について、執筆者・編集者・学習者・指導者などの様々な視点で、コーパス利用の利点と課題、経験、(今後の潜在的な人たちも含む)執筆者・指導者・利用者等に伝えたいこと、問題提起、今後の展望、などについて各登壇者が参加者と共有し、全体討論を行う。

LLMに基づくAIが示す大きな可能性を目の当たりにしている2023年というこの時点で、英語コーパス学会においてコーパスと辞書をテーマとしたシンポジウムを15年ぶりに開催し、コーパスの辞書への利用のあり方についていま一度考えることで、コーパスと辞書に関する研究の今後のあり方を熟思する機会になることを期待している。

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